多くのチェーン店にあるセントラルキッチンが、『大吉』にはなぜないのだろう。
「鶏肉は日本全国どこでも手に入りますから、わざわざセントラルキッチンからの流通コストを掛けて、冷凍にして配送するより、地元の鶏肉屋さんから、より新鮮なものを仕入れるのが一番賢い方法だと、創業者が喝破しておりまして(笑)」と社長。言われてみれば納得。
だから、各店それぞれで地元の鶏肉業者から個別に仕入れているという。
「仕入れ担当は店主=経営者です。雇われ店長ではないので、少しでも良くない状態の肉が届けられれば、店主は仕入れ先に文句を言いいますよ。毎日、肉を見ていれば、質の善しあしはすぐにわかるようになりますしね」と元『大吉』店主だった部長の言葉は説得力大。
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「同じことが仕込みにもいえます。例えば、串に刺している間、1キロの肉を冷蔵庫から出しっぱなしにしていると肉の質が下がってしまうから、300グラムずつ出すとかね。
小さなことだけど、経営者なら手間暇を惜しまない。経営者ならではのこまやかな扱いをするわけです」
実際、私も大型チェーン店で取材しているとき、パートの女性が一生懸命串打ちをしているのを見たことがある。
取材中の1時間、鶏肉の塊は台の上に出しっぱなしだったのが気になったものだ。
「しかも、焼くのも自分ですから、焼き上がりを想像しながら串打ちをすることができます。
部位ごとに塊で仕入れた肉をカットすることから店でやるし、自分の店の焼き台の火力やクセも知ってるから、肉の大きさ、厚さなど、火の通り具合を考えながら串打ちできるので、美味しく焼けますよ」。
※記載内容は取材当時の情報を元に作成しております